2016/10/26

メキシコという国は「おもちゃ箱」

TAKEYA MATSUMOTOさん

<プロフイール>
IZAKAYA KURA 料理長
日本のホテルでコックを経験後、2007年メキシコシティへ。
現地レストランで料理人として勤務。
2016年4月、ローマ地区コリマ通りに「IZAKAYA KURA」をオープンした。

20164月、メキシコシティ・ローマ地区コリマ通りに「IZAKAYA KURA」がオープンした。  

オープン3か月で予約が取れない店と評判になった日本食居酒屋だ。

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酒蔵をイメージした店内

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厳選された60種類の日本酒

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寿司カウンター

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バハカリフォルニア州エンセダナ直送のマグロを中心とした魚介類を中心とした日本料理

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メキシコ初となる おでん

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店内に入ると「いらっしゃい!」と粋のいいスタッフたちが迎えてくれる。

そんな大人気店「IZAKAYA KURA」。

 「日本の食文化をメキシコに」と店を切り盛りする料理長のTAKEYAさんに話を伺った。

 

トップガンに憧れ、航空自衛隊に入りたかったというTAKEYAさん。

進学校の高校に進むも、希望の大学に落ちたことが最初の転機となる。

「大学に行きたくなかったのもあってバーテンダーのバイトに明け暮れていました」

そこで飲食の面白さを知ったTAKEYAさんは、その後、コックとしてホテルの厨房に勤務。

「今でこそ笑って言えますが、完全な体育会系の職場でした」

包丁は飛んでくるは、油はとんでくるは、厳しい世界。みんな次々と辞めていく。

しかしTAKEYAさんは辞めなかった。

「もともと食べることが大好きなんです」

「フレンチのレストランだったんですが、とにかく先輩たちが創る料理が美味しそうで。

盛り付けが終わって洗い場に投げ込まれるソースを見つからないように舐めてました」

まさしく、味を盗むということ。

TAKEYAさんは、いつかはこういう料理を創れるようになりたいと当時のチーフに憧れてたという。

それがモチベーションだった。

 その後、独立し、地元にレストランをオープンする。

 店も順調だった2007年、知り合いから新規レストランの立ち上げを手伝ってくれないかという話が舞い込んだ。

「それがなんと、メキシコだと言うんですよ」

 メキシコどころか、海外にも全く興味がなかったTAKEYAさん。

しかしここで第2の転機ともいえる嫁の言葉があった。

「嫁が行きたいと言ったんです。ちょうどその時期にメキシコの遺跡に興味を持っていて」

 

こうしてTAKEYAさんは2007年、料理長としてメキシコシティに降り立った。

 

「最初の3か月でもう嫌になりました」

スペイン語もまだ十分に話せなかったTAKEYAさん、現地メキシコ人スタッフとのコミュニケーションが取れず、人間不信寸前だったという。

在庫チェックを頼んでも、まず、数を数えないでいい加減な数字を言う。

ここにトマトを2個といっても、なぜだか、3個だったり1個だったり。

「もう、日本に帰ろう。そう思いました」

でも、冷静になって考えると

「3か月で帰るわけにはいかない」

「メキシコ人はこういう人なんだ。そう思うことで踏ん切りが付きました」

それからはポケットにスペイン語の辞書を入れて厨房に立つ毎日。

とにかく厨房の中で使う言葉から順番に、スペイン語を頭に叩き込んだという。

 

そしてメキシコに渡って9年。

念願だった日本食の店をオープンした。

 

 メキシコシティには美味しい寿司があまりないという。

 日本の美味しい寿司をメキシコ人に食べてもらいたい。

「ネタというよりもシャリに問題があるんです。とにかく米がぱさぱさ。メキシコシティは標高が高いので沸点が90度。米を美味しく炊けないんです」

 TAKEYAさんは、炊飯器ではなく圧力鍋を使うことで温度を上げ、美味しい白米を完成させた。

日本酒にもこだわった。

「メキシコには、松竹梅と大関しかなかった。アルコールが大好きなメキシコ人にいろんな日本酒を飲んで欲しかった」

店内には常に60種類の日本酒が揃っている。

 

一人でも多くのメキシコ人に日本食を味わってほしい。

TAKEYAさんは日本のクォリティにもこだわりつつ、その値段もリーズナブルに設定。

スタッフの頑張りもあり、オープンから3か月経ったころには予約が取れない店と成長した。

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しかしここまで、順風満帆だったわけではない。

「当初は、“居酒屋 蔵” という名前を付けたんですが、居酒屋という商標を持っているというメキシコ人が現れたんです」

この時に営業停止を12日間受ける。

そしてその後は、設備関係が規定に伴っていないという事で3日間の営業停止。

「居抜き物件だったんですが、建築の法改正があったとかで・・・」

しかし、IZAKAYA KURAの人気は衰え知らずだった。

TAKEYAさんは言う。

「メキシコはチャンスがいっぱいあります」

今はメキシコが、メキシコ人が面白くてしょうがないという。

しかし仕事に没頭できるのも奥さんの存在があってこそだという。

「子育ても任せっきり。でもそういう中でも妻もメキシコを自分で楽しんでいる。

妻には感謝しかないです」

 

これからの夢を聞いた。

「2店舗、3店舗と増やしていきたいですね」

もっと日本食の素晴らしさを伝えていきたいという。

その時々の体の調子に合わせた食材やメニュー。

たこ焼きなど、さっと摘まめてお腹を満たしてくれるものもある。

「日本食って本当に素晴らしいんです」

そして、もし次にお店を出すとしたら、どんな日本食の店なのか最後に聞いてみた。

 

「メキシコはパスタも人気メニューです。和の要素が入った和食パスタをメキシコ人に食べて欲しいですね」きっとその夢が叶うのも、そう遠い未来ではないのかもしれない。

 

居酒屋 蔵 Restaurante Izakaya Kura

Colima 378, Roma Norte, Cuauhtemoc, 06700, Mexico TEL: 52-55-5511-8665

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