2017/01/26

「好きなこと」は「得意」に繋がる。辿り着いたメキシコだから叶えたこと。

MARIさん

<プロフイール>
兵庫県明石市生まれ。
日本では貿易、財務、経理事務に従事。その後カナダ・モントリオールで洋菓子の製造を経験し2009年よりメキシコシティ在住、2010年から本格的に洋菓子の製造販売を開始。販売だけではなく、メキシコの食やアレルギーなどの食制限の研究、執筆、公園なども手がける。

メキシコシティHeriberto Frías通りにある小さなケーキ屋さん「MARI’s PASTRY」

店内にはカラフルで可愛いケーキや焼き菓子が並ぶ。

日本のクオリティー、インターナショナルなレシピとアイデア満載のケーキやお菓子は在住日本人だけではなく、地元の方々にも大人気だ。

mari y cocina

 

2009年にメキシコに移住、2010年3月にMARI’s PASTRYを設立したMARIさん。

小さい頃からお菓子作りが大好きで、焼き菓子やシュークリーム、マドレーヌなど、みんなが美味しいって言ってくれるのが嬉しかったという。

しかしお菓子作りは、あくまでも趣味。大学に行って就職して結婚して・・・「そういう普通の人生を思い描いていました」と笑う。

大学卒業後、地元の企業に就職し経理事務を担当。しかし、「一番苦手な数字を扱う仕事。そこそこだった英語を磨けば、自分の好きなことを仕事にできないだろうか」

思い立ったら行動に起こすMARIさん。今の状況を変えようと、1年間のワーキングホリデーを決意する。行き先はカナダのモントリオール。

「せっかくバイトするのなら、“好きなことで働けたらいいね“そう助言してくれたのは従姉妹です」

バリバリ自営するかっこいい従姉妹。女性誌などに、彼女のセンスが光る仕事やコーディネートが紹介されている。MARIさんは昔からとてもいい刺激を受けていた。

「若いうちに良いもの、本物をみておくといいよ」と言われて、ヨーロッパを二人で旅行したことがある。

建物、ケーキ、パン屋さん、生地やさん、骨董品、花屋さんなど、日本とはまた違う歴史ある美しさ。

MARIさんの潜在意識の中でこの経験が大きくなっていたのかもしれない。

そしてそのモントリオールでMARIさんの人生を変える出会いがあった。

「YUKIさんという日本人のペイストリーシェフ(パテぃシエ)がオーナーの「Yuki bakery」で働かせてもらいました」

彼女の作るアメリカンレシピのケーキやパン。どれも斬新で美味しい。お菓子作りが大好きだったMARIさんにスイッチが入る。

「大好きなことを一食懸命且つ確実にしている。オープン間もない頃のYUKIさんの活躍を間近で感じ、すごく憧れました」1年間のワーホリ。

8時間、キッチンで立ちっぱなしで働いて手がボロボロになっても疲れは感じなかった。

厳しいけれど充実の毎日。しかし帰国の日がやってくる。

「今後の人生をどうしたらいいかわからなかった」

泣く泣く帰国したMARIさんは、就職し、英文財務、貿易営業と働いてみるものの、何か心が救われない。

とても寂しい気分の3年間。

【海外で働く】そんなことを小さい頃から思っていたわけではない。

でもMARIさんの選択はそこしかなかった。

日本にいると常に年齢を意識する。30歳に差し掛かった時、

「最後の賭けだと思いました」

選んだのは、メキシコ。この頃のメキシコは比較的自営業ビザも取得しやすかった。

「カナダと同じ北アメリカ大陸だし(笑)とそんなに不安はありませんでした」渡墨1ヶ月前にスペイン語を勉強し2009年メキシコへ。

 

「帰ったら負け」MARIさんの奮闘が始まった。

「当時のメキシコには、本当に美味しいケーキ屋さんはまだありませんでした。ほとんど競合がいません。毎日自宅のオーブンで焼き菓子を焼いて、日系のレストランを中心に営業にまわりました」

とにかく、がむしゃらだったという。

「メキシコは貧乏でもなんとか普通に暮らせます。交通費もメトロは日本円で当時25円くらい。収入が出来る度、地元の人しか行かないような市場に買い出しに行き、自分が担いで歩ける7キロを計算して材料を購入していました」国民の大多数が低所得者で、その足となるメトロは空調もなく、暑くて匂いもきつい。

「毎日Tシャツとジーンズ。同じような服でもメイクをしなくても、全然気にならなりませんでした。ご飯も数十円の露店ですます。メトロや市場で誰も自分の格好なんて見ていない。当時私には、そういうことにお金を回す余裕がなかったから。日本では人目が気になってそういうのはあり得ないですよね」

今、自分は人生の底辺にいる。だから上に行くしかない。

そう思いながら自宅で焼き菓子を焼いて、営業に行き、オーダーを取る。

この生活は2年弱続いた。

 

そんな時、小さなカフェをやっていた日本人と知り合う。

「1ヶ月に1度、ケーキとビュッフェのイベントを一緒にやることになりました。メキシコ人は甘いもの、ケーキが好き。何かにつけて集まってパーティーをするお国柄で、子供の誕生日には100人用のケーキを注文したりします」

このイベントを通じ、MARIさんの作るお菓子の評判も上がり、注文もどんどん増えていった。

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「しかし、当時はまだお店を構える余裕がなく、その日本人オーナーのレストランオープンに併せて、お菓子の一般販売が出来る場所をレストラン内に間借りさせていただき、名前も出させて頂きました」

そして2016年、一般販売が出来る店舗を持つ決断をする。

 

同年3月、「MARI’s PASTRY」実店舗オープン。

「ここまでこれたのも、まだまだ元気な両親やこれまで出会った大切な友達、応援してくれる人、そして長くついてきてくれるスタッフのおかげです」

日本ではコンプレックスになっていた自信のない経理や財務で学んだこと。

「小さい経営をするにあたって、会社や上司の方に迷惑をかけながらも今までやってきたこと全てが無駄ではなく、今に活かせていると思えることが、とても嬉しい」

「おかげさまで店のスタッフも育ってきています」

現在、MARIさんのほか、1名のペイストリーシェフ(パティシエ)と2名のアシスタントがいる。「やる気のある子たちにはどんどん教えて、いい仕事をしてもらいたい。そして稼いでほしい」いい仕事をすれば稼げるということを、所得格差の大きいこのメキシコで働く人たちに理解してほしいという。

【好きなことは得意に繋がる】

「これは前述のYUKIさんの言葉ですが、私がメキシコで洋菓子製造販売を経営するきっかけだったかも」とMARIさん。

「今後は、自分のサロンドテを持ちたい。さらに、アメリカや日本にもお店を出すことができたらいいなと思っています」

最後に、「そういう夢を持つことが出来るのも、自分が100%自分らしく居させてくれる彼がいるから。私の夢を全力でサポートしてくれる旦那さまに感謝しています」と小さな声で付け加えてくれた。

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メキシコシティに行ったらぜひ、「MARI’s PASTRY」へ!

WWW.MARISPASTRY.MX

https://www.facebook.com/marispastry

 

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